2024/01/17

いつか訪れる「さよなら」のために


わたしが消えていく瞬間

だれもが遠くの空に向かってあるき続けているのだろう

わたしは何食わぬ顔で忘れられることに「しめしめ」とつぶやきながら

独居老人となっていく

そしていつも偉そうに人々を見下ろしている君は

やっぱりそこでいつも眠っている


こんなところへやってきて

せまい家の中のルールを守りながら君は

そして今も生きていることを

わたしに思い出させてくれる


あなたをこんな狭いところに閉じ込めてしまったね

いつかしらない誰かがたずねてきて

きっと君をいろいろなところへ

連れだしてくれるかもしれない


わたしが消えていった後も

君がしあわせでありますように


足りなかったところも、すぎるほどの想いも

それはそれで

私なりの精一杯だったと笑い飛ばして

誰も連れていけないわたしには

おいてゆく者たちの気持ちが

今ようやく分かるような気がして


「あしたわたしは風になる」          


今日もささやかなあかりのした

砂時計のように時間だけが        

つらつらと流れ落ち

すべての砂が風に舞ってきえていく


でも

このいとなみは消えることを知らず

あさになると必ず

あたらしい光がさしこんでくるから














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星空

 

つめたい空気がとがったように

凍った冬の星の夜

誰もが一人ぼっちでいきている

あなたのいないこの部屋で


誰も隣りにいる人のことなんか

心配したりしないのに


遠くの空のした

あなたはどうしているのだろう

ふと そんなふうに考える


「また一緒になろうね」


約束もしないまま

驚くような速度で消えてしまったあなた


こんな夜は

とどまった空気をぬって

ビー玉のような想いが空にまい上がって

星たちがキラキラとわらいかける

星たちがキラキラと




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