かえりみち



今日は少し疲れたなぁって
電車の窓に映る僕の顔がつぶやく
街の明かりが
なんだかとても明るくて

あなたのことを
急に思い出した

いつも
黙って遠くを見つめていた
おとうさん

あの時のとうさんは
いったい何をみつめていたのかなぁ

街の明かりの中に
もう帰ることのなくなった
あなたのいないあの家の
明るい夕飯が
現われてきて

なんだか
なんだよな

.................................


電車の窓から僕の目に
しみだしてきた疲れが
とまるように
あわてて空をみあげる

昨日まで降ってた雪が
まだ家々の屋根の上に薄く残っているのに
きょうは
晴れた夜の空に
星がたくさん散らかって

そういえばとうさんもカメラもってたな
ぼろのやつ

思い出したらおかしくなった

きょうは
とびきり澄んだ空気の中
こぼれてきそうな星屑が
僕の上に降ってくるようなきがする